ICPの価格が変わってもinternet computerの利用料金は変わらない理由

自分たちのサービスを Internet Computer に置こうと思っても
価格が変わるのであれば、ちょっと怖いですよね。

実は、ICPの価格が上がろうが、下がろうが Internet Computer の利用料金は影響を受けない仕組みがあります。

(他のブロックチェーンは利用料金が激しく変化したりするのですけれども)

そこでこの記事では、ICPの価格で Internet Computer の利用料金は変わらない理由と、
利用料金が変わる可能性がある場面を紹介したいと思います。

この記事を読み終えると、 Internet Computer の利用料金を安定化させている仕組みを把握できます。

ICPの価格が変わっても Internet Computer の利用料金は変わらない理由

Internet Computer以外のブロックチェーンでは利用料金が上下することが珍しくありません。

Internet Computer はICP以外にもcyclesというトークンをもっており、
このcyclesが利用料金の安定させる役割を担っています。

価値が安定しているトークン、cyclesの存在

stainless steel spiral staircase on gray floor

まず最初に。cyclesは通貨ではありません。 Internet Computer を動かすための電気・ガスなどの燃料といえます。

開発者が Internet Computer を動かすのに必要な料金は、cyclesで支払われます。

cyclesは価格が決まっており、

1 XDR = 1,000,000,000,000 cycles

(桁が・・・)

1 XDR = 1兆 cyclesで交換できます。1XDRは大体160円くらいですね。

XDRになじみの無い方向けに簡単に説明すると
円・ドル・ユーロ・人民元・ポンドを合わせた、ミックス通貨のようなものです。

ひと月当たり1GBのストレージを使うのに約3300億 cycles必要なので、40円程度つかうイメージです。

 ICPは変わってもcyclesは変わらない

インターネットコンピュータを動かすには、 ICPをまずは購入するのですけれどもこの ICP は値動きが激しいです。

https://www.tradingview.com/symbols/ICPUSD/

しかし ICP が変わってもcyclesがあるおかげで Internet Computer の利用料は一定に保つことができるのです。

例を見てみましょう

160円で交換できるのは常に1兆cycles(※円の価値が変化しなければ)

「$」よりなじみのある「¥」での例です。

1 ICPが160円の時と320円の時に交換するときを見てみましょう。

まずは160円の時

こちらはそのままです。1ICPの価格が160円ならば、1ICPを得られます。

価値が1XDR相当なので、得られるcyclesは1兆cyclesです。

続いて320円の時です。

得られるICPの量は0.5ICPで、160円/ICPのときの半分です。

しかし、0.5ICPでも1XDR相当の価値がやっぱりあるので、得られるcyclesは1兆cyclesです。

これが、ICPは変わっても利用料(cycles)は変わらない理由になります。

余談:なにゆえXDR

cyclesの価値の換算にXDRが利用されている理由は、XDR自体の価値安定性があるからだと思います。

一国の通貨をもとにすると、その国の貨幣価値の変化を強く受けてしまうので、

複数の通貨に分散することによって、影響範囲を小さくすることができます。

今回、円を例にとりましたが、XDRの価値は変わらずとも、円は価値変動がそれなりにありますので、160円で交換できるという例はあくまで参考です。

その点は、ご留意ください。

Internet Computer の利用料金が変わる場面

Internet Computer の利用料金はICPの市場に影響を受けないことがわかりました。

しかしながら、利用料金が変わらないわけではありません。

マクロ経済の影響で価格変化

地政学的変化

執筆時点では1 XDR あたり160円ほどの金額です。

XDR は複数の通貨で価格の安定性をはかっているので、一つの国の通貨が変動してもその影響は限定されるようになってます。

しかし我々の利用する通貨は基本的には「日本円」です。

 XDR の価値があまり変わらなくても日本円の価値が変わってしまうことは十分考えられます。

現実世界でのインフレ 

Internet Computer はあくまで仮想マシンご提供します。

しかしながら、実際に Internet Computer は物理サーバーの上で稼働していています。

サーバーで使用する半導体の値上がりや、土地としてのデータセンターの値上がり、
エネルギー資源・電気代の値上がりの影響を受けます。

マクロ経済の変化は他のクラウド事業者にも波及する

インフレにしろ円の価値の変化にしろ、 Internet Computer だけが値上がり(あるいは値下がり)してるとは少し考えづらく、

もしインフレ等のによる価格変化が起こるのであれば、AWSやAzureといった他のクラウド事業者の利用料も変わるはずです。

利用料金を下げていきたいInternet Computer

ひとまず1GBあたり年間500円くらいで利用できるようになりました。

1GBのストレージ容量の値段は、以前は年間5000円以上と高価だったそうなので、かなり下がった印象です。

Internet Computer の価値は多くの人に使ってもらうほど価値が上がります。

そのためには、利用コストを低くすることは理にかなっています。

価格が高い理由のひとつの理由はまだネットワーク規模が小さいということでしょうか。

Internet Computer を動かすために、物理サーバーをホストしている事業者に報酬を払っています。

ホストする事業者が増えれば増えるほど、より安くホストしてくれる事業者がでてきて、価格競争も起きやすくなので利用料金も下がる可能性があります。

また、サーバーの計算性能向上により、より安い電力で大量の計算ができるようになることも利用料金を下げる要因になります。

まとめ

最後にこの記事のまとめです

  • ICPの他にcyclesという価値が安定しているトークンがある
  • cyclesを支払いの基本としているのでinternet computerの利用料金は変化しづらい
  • ただしマクロ経済の影響により利用料金は変わる可能性はある

個人的には1 XDR = 1兆cyclesと価値を固定している仕組みはおもしろいなと思ってます。

基軸通貨である USDのトークンはいくつかあります。

USDと連動しているトークンを基本とするのは一見よさげにみえるのですが、
基軸通貨は スペイン→イギリス→アメリカと変遷している歴史があるので、

XDR であればUSDの力が弱まった時の影響をやわらげるのではないかと。

万一、XDRの価値が大きく揺らぐときにはinternet computerの投票議題になるのでしょう。

では。