
インターネットコンピューターのURLが変な理由
インターネットコンピューターを使い始めると、URLが
https://6qfxa-ryaaa-aaaai-qbhsq-cai.ic0.app/
のように、読みづらい形をしているのを疑問に思ったことがないでしょうか。わかりやすいURLなら、利用者側にも親切で、使いやすいですよね。
そこでこの記事では、ドメインが変な理由と今後のインターネットコンピューターで行われている対策について紹介します。
※なお、URLはインターネットコンピューター上でSNSを実験しているサイトTaggerです。
目次
インターネットコンピューターのURLが変な理由
ランダム文字URLの正体はID
最初にURLのランダム文字の正体からいきます。あれは、インターネットコンピューターで動いているプログラムのIDが変なURLの正体です。
(正確にはプログラムを動かしているキャニスターとよばれるもののID)
IDの付与の仕方としてランダムな文字で割り当てるのが一般的です。自分たちの好きなようにIDがほしいと思われる方もいらっしゃいますが、すでに登録されているとかを確認するのは手間ですし、ランダム文字のほうが効果的です。
また、ランダム文字が被らないように非常に長いのも特徴的ですね。これから凄まじい数のプログラムを動かしたいインターネットコンピューターとしては、できるだけ長い文字にしておくほうが都合がよいです。
httpsを自動でサポートしてくれる
ドメインを変えられない一つの理由は、httpsをデフォルトでサポートしてくれていることです。プログラムを動かすと自動でランダム文字のURLであるサブドメインとhttpsの証明書を付与してくれます。
今でこそドメインとhttpsを無料で取得できるサービスなんかが出てきましたが、自分たちで設定をしなければならないことも多いです。使い勝手の良いサービスになると有料にもなったりするので、無料で自動でやってくれるのはありがたいです。
で、httpsはドメインに対して付与されるのですが、自動で付与されるのはランダム文字のURLに対して行われるので変なURLのまま使用することになります。
既存技術で変えることはできるけど微妙
既存技術を使えば、とりあえず変なURLの問題は解決することができます。
別のドメインを付与
簡単にできる対策としては、ランダム文字のURLに別名をつけることです。DNSの機能をつかって、好みのURLに変えることができます。
ただ、この方法だとhttpsが連動してくれないので、せっかくの暗号で匿名で安全というのがhttpで台無しですね。
リバースプロキシ
httpsも含めて対策するには、一層リバースプロキシをはさむ方法で可能です。ただし既存のクラウドやVPSを使うことになるので、ちょっとWEB3.0から逆行する対応ではありますね。主にランディングページとして使うにはアリかもしれませんが、WEB3.0を目指しているプラットフォームなのに既存技術を使うという点で微妙と考える人もいます。
インターネットコンピューターもURLをわかりやすくしたい
大きな目標のひとつ分散型DNS・分散型認証局
インターネットコンピューターの創設者のドミニクのTwitterでも言及しているのがDNSとhttpsに使用される証明書を提供することです。
これができれば、分かりにくいドメインの問題は解決されます。
研究開発スタート
ドメインとhttpsの証明書の課題について解決すべく提案がされ、投票の結果可決されました。コミュニティとしてもわかりづらいURLは何とかしたいと思っていたということです。
これにより、実際に動き始めることになります。
ロードマップにサブドメイン対応が乗る
そして今年に入り、早速最初の対応がロードマップに乗りました。
まずは、サブドメインで読みやすいURLに対応。時期は、2022年第一四半期予定です。
いまURLが
https://xxxxx-ryaaa-aaaai-qbhsq-cai.ic0.app/
となっているURLを、例えば
https://nryblog.ic0.app/
のように変えられるということです。
xxxxx-ryaaa-aaaai-qbhsq-cai という一見するとあやしいURLが、読みやすく、どんなサイトなのかわかりやすくなるのは大きいメリットですね。
これだけで個人的には十分です。
.icpのURLはまだまだこれから
URLのドメインの最後の部分を、.com、.info、このサイトなら.work、この部分を.icpにしたいですよね。実現できれば、今のic0.appよりも直観的にインターネットコンピューターを使っていることがわかります。
ただ、これはサブドメインの対応よりも時間がかかるでしょう。.com、.infoといったURLの最後の部分をトップレベルドメイン(TLD)と呼ぶのですけれども、このTLDを取得するのは難易度が高いです。
TLDは費用がかかる
TLD取得に結構な費用がかかります。日本円で2000万円くらいかかります。
インターネットコンピューターが多く利用されるようになって、社会的にも.icp=インターネットコンピューターのドメインのような立ち位置になってくれば「そろそろ.icp取得しておく?」みたいな投票議題が提案される可能性がでてきます。
いまはとにかく作り手・利用者のともに増やしていくことが.icp利用へとつながるでしょう。
ICANNへの依存
また.icpを取得したとしてもまだ課題があります。既存のドメインの仕組みは分散化ではなく、ICANNによる集中管理がされているという課題です。ICANNに圧力を加える組織がでてくればDNSが消滅させられてしまいます。
真に分散化されたURLを作りこむためには分散型のDNSが必要になります。必要なのは分散型の組織に、分散型のクラウド。インターネットコンピューターの出番ですね。
認証局としても分散化
加えて、httpsで利用されている証明書を発行する認証局になることも大変そうです。今はLet’s Encryptを通して既存の証明書技術を使用していますが、ビットコイン統合で使用される署名技術をhttps通信に利用できる構想もあります。
最終的に創設者ドミニクの言及していた、いずれは分散型DNS & 認証局にたどり着くのでしょうが、課題は多く時間がかかる見込みです。
気長に待ちます。
ID問題を解決するサードパーティ・サービス
とはいえ、気長に待ってられない人のために、Dfinityに先んじてURLの問題を解決しようとしているサービスもあるのでいくつか紹介します。
ICNAMING

疑似的に.icpを解決するサービスです。現状ブラウザ拡張機能をつかって「https://任意のドメイン.icp」の形のURLにすることができます。他にもicpの送付などに使用するためのアドレスやIDを、短くわかりやすい名前に変換してくれます。
注意点としては、拡張機能を入れていない人には無効なアドレスなので、一般公開するURLには向きません。
DAB

DABでURLに情報を書き込むことができるサービスです。DABにキャニスターを登録しておけば、Plugウォレットを使用した時に出てくるキャニスターが一体何なのかを教えてくれます。
まとめ
では最後にこの記事のまとめです。
- インターネットコンピューターのドメインが分かりにくいのはランダムIDだから
- サブドメインでわかりやすい名前を登録できるようにする機能開発は2022年第一四半期で実施
- インターネットコンピューターは分散型DNS・分散型認証局になるべく研究開発中
ひとまず、サブドメインさえ有効になれば、かなり利用者にやさしいURLになります。なんだかあやしいURLから卒業できます。