
何故にNFTはオンチェーンで保存しないといけないのか
NFTを購入検討しようとすると、オンチェーン(データがブロックチェーンにある)でないと危険とかSNSで頻繁に情報を見かけます。
- なんでオンチェーンでないといけないのでしょうか。
既存のNFTの構造とその問題点にふれつつ、完全オンチェーンのNFTについても紹介します。
目次
すべてブロックチェーンに乗せる重要性
基本的には「保有」することができるようになったのがNFTでありブロックチェーンです。
ブロックチェーンに乗せてあるデータ、いわゆるオンチェーンと呼ばれるNFTは安全でオフチェーン管理のNFTはセキュリティ面で安全性が落ちるという話になります。
データを「保有する」ことができるようになったブロックチェーン
他の人によって保有していることが保証されることはよくあります。
例として家庭内のお金で考えてみます。
貴方が1万円札を保有していたとします。当然自分のものと考えています。しかし、他の家族である祖父・祖母・父・母が父の一万円と主張したとします。すると、家庭内という世界では、貴方の一万円は父のものであり、貴方が不当に手に入れているという状況になります。
事実はどうであれ、他の人によって「保有する権利」が変わる状況があるということです。
ブロックチェーンの登場により、技術で保有を証明できるようになり、家族の信頼は不要になります。
例ではお金を取り上げましたが、データそのものも保有することが可能になりました。画像ファイルや音声ファイルなどデジタルデータをNFT化することでコピーではないオリジナルを保有することが可能になりました。
デジタルアートとの相性の良さからか、NFTといえば画像データを連想する人も多いのではないでしょうか。
従来のNFTの問題点
いま主流で取引されているNFTはある種の脆弱性をもっています。
- NFTの構成要素
- 従来のNFTの弱いところ
の順にみていきましょう。
NFTの構成要素
NFTは単なる画像データではありません。ざっくりNFTと呼べるようになるためにはいくつか条件があります。
- トークンデータ
- 取引データ
- 画像・音楽などの所謂デジタル資産の部分
- その他メタデータ
トークンデータ・取引データ
トークンデータはNFTの本体ですね。画像などがNFTとして取引されていますが、実際はトークンデータの中に画像があるイメージになります。
取引データはトークンに含まれてはいませんが重要な要素です。取引データが改ざん可能であれば、NFTが増えていたり・盗まれたり様々な問題がおきます。ただ、NFTはブロックチェーンを利用しているので取引データが欠損しているようなNFTは存在しないと思って大丈夫です。
デジタル資産の部分・メタデータ
トークンの中身に相当する部分ですね。デジタル資産には画像・動画・音声などメディアデータが置かれ、メタデータにはそのほかのデータが置かれます。メタデータは用途に合わせて設定するので、著作権を譲渡する契約を含めたりすることも可能です。
従来のNFTで弱い場所
今までのNFTではトークンと取引以外はオフチェーンに保存されていることがあります。オフチェーン、いわゆるブロックチェーンに乗っていない部分は攻撃をされます。
オンチェーン | オフチェーン |
---|---|
トークン | メディアデータ |
取引履歴 | メタデータ、著作権等 |
あれ?トークンの中にメディアがあっていってなかったけ?
はい。確かにトークンの中に画像に関するデータがあるのですけれども、実態としては外を参照するURLになっていることがあります。
ブロックチェーンではない普通のクラウドに画像が保存されています。
https://s3.amazonaws.com/your-bucket/images/rabbit.png
↑URLはイメージです。
また、メタデータもURLの形でブロックチェーンの外、オフチェーンに置かれることがあります。
オフチェーンの危険性
NFTは画像を気に入ってNFTを購入したりするわけですが、オフチェーンに保存されているとある日、別の画像に変わってしまうという事件が起きてしまうかもしれません。
ブロックチェーンにあるデータは堅牢です。めったなことでは停止も改ざんもできません。
しかし、ブロックチェーンの外を参照しているURLは改ざんできませんが、URLがみている実際外側にある画像を入れ替えられてしまったり壊されたりする可能性があります。
また、メタデータについても外部に保存されていることがあります。メタデータの例として著作権で考えてみましょう。
NFTであっても基本的に著作権は著作者、クリエーター側にあります。著作権はあくまで現実の法であり、ブロックチェーンにはありません。
著作権は国によって補償されている内容がことなるので一概には言えませんが、大抵は譲渡可能です。ある種のNFTプロジェクトでは著作権をNFTに付与することで、NFTのストーリーをみんなで紡ぐことも可能になりました。
しかし、この著作権に関する要項もオフチェーン、つまりブロックチェーンの外にURLで置かれてしまうこともあります。
すると画像の例と同じく、著作権に関する項目を書き換えられたりあるいは、著作権譲渡するつもりがなかったのに著作権譲渡を盛り込まれたりしてしまう可能性がでてきます。
画像などのメディアデータの改ざんも、メタデータの改ざんもどちらも起きてしまうとNFTとしては痛いですよね。
なんで外に置くのか?
では何故に危険と言われるようなオフチェーンに画像ファイルやメタデータをおいてしまうのでしょうか。
理由は費用です。ほぼこれ。
NFTの中心はイーサリアム系のネットワークです。イーサリアムはブロックチェーンの利用料が高価なことで知られています。
2022年時点で、1MBのデータをイーサリアムで保存するのに数万~数十万くらいかかると言われています。以前はこんな法外なコストはかからなかったのですが、人気とともに利用料金が上がってしまった経緯があります。
イーサリアムは素晴らしいブロックチェーンで人気もあります。ただ、これだけデータ保存のコストが高価になれば、画像をブロックチェーン・ネットワークに置くのはつらいですよね。
完全オンチェーンのInternet Computer
では、オンチェーンで安く保存できるブロックチェーンを紹介します。インターネットコンピューターです。インターネットコンピューターは2021年正式にリリースされた新しいブロックチェーンです。
インターネットコンピューターとはどんなブロックチェーン?
ひとことでいうと、ブロックチェーン版のクラウドサービスです。データを保存できたり、計算・処理したり、Webページを表示することができるブロックチェーンです。
利用料はどうなっている?
気になるポイントは利用料ですよね。みていきましょう。
利用料は安い
先ほどイーサリアムで1MBあたり数十万円かかると述べましたが、インターネットコンピューターでは1MBあたり1円以下で利用することが可能です。
料金は固定
イーサリアムでデータ保存するコストが高いのは一つにイーサリアム自体の価値が高まったことが原因です。コストとブロックチェーン・ネットワークの価値が連動しているんですね。
ほかのブロックチェーンでも同じようなことが起こりえます。
しかし、インターネットコンピューターは違います。ネットワーク価値と利用料の連動をぶった切る仕組みがあり人気がいくら上がろうが利用料に変化はありません。(逆に人気が無くなっても料金は下がらないですけど・・・)
データ保存のコストでわかるように非常に低い金額で利用することができます。
ユーザー側は支払わない
そのうえなんと我々のような一般消費者はコストを払うことはありません。支払うのはインターネットコンピューターを通じてサービスを提供する側です。
イーサリアムなどのネットワークは、ユーザーからNFT購入時に、ガスと言われる利用料を徴収します。しかもこのガス代。けちると取引失敗して払い損してしまうことも。
ですが、インターネットコンピューターはユーザー側は支払う必要がないのでガス代を気にすることはありません。
NFTを取り扱うサイトEntrepot
インターネットコンピューターでNFTを扱うサイトを紹介します。Entrepotです。去年にNFTの売買がスタートしてまだまだ若いサイトですが、取り扱うNFTプロジェクトもどんどん増えていってます。
興味のある方は見てみてください。
まとめ
では最後に記事のまとめです。
- NFT本体はブロックチェーンにあるけれど、容量の大きいものはオフチェーンにある
- オンチェーンに比べてオフチェーンにあるデータは改ざんのリスクが増える
- 完全オンチェーンのNFTはインターネットコンピューターにある
NFTには様々な使い方があるので、新しいNFTプロジェクトがどんどんでてきてほしいです。
では。