
ICPの供給量と価格への影響
- ICPの発行上限は?
- ICPの量はどれくらいのペースで増かしている?
ICP の価格への影響が気になってる方向けの記事になります。
発行上限が決まっているものは価格が上がりやすいため、仮想通貨を購入する前に発行上限や供給のメカニズムが知ることは重要です。
この記事では、インターネットコンピューターの ICPトークン の供給の仕組みと価格の上昇や減少について考えられる原因について紹介したいと思います 。
目次
ICPに発行上限はあるのか
ICPに発行上限はありません。
発行上限は、仮想通貨の価値が上がりやすくする一つの要素です。
ビットコインは発行上限を持っている仮想通貨の一つですね。2100万枚という上限が設けられているため、欲しい人が多いとより高い金額を出さないと手に入れられないなんてことが起きます。希少性があるということです。
現実世界でも「金」など埋蔵量に限りがある資源も価格が上がりやすいです。
ICPに発行上限がないことは残念ですが、その代わりにICP総量の増加・減少のメカニズムがあります。
ICP供給・燃焼の仕組み
ICPの全体の量を増加させる供給のしくみと、減少させる燃焼のしくみがあります。
ICPの供給
- 投票の報酬
- ノードプロバイダーへの報酬
ICPの燃焼
- サイクル変換での燃焼
- ICPトランザクション(取引)手数料による燃焼
供給と燃焼の量が釣り合えば実質的な上限にもなりますし、燃焼量が多ければICPの希少性が上がり、供給が多ければ希少性は下がります。
この増加と減少のメカニズムを備えることで、インターネットコンピューターを維持可能な状態にします。
供給量が減少するメカニズム
では供給量が減少するメカニズム二つを見ていきましょう。
- ICPトランザクション手数料による減少
- サイクル変換での減少
ICPトランザクション手数料による減少
主に、ICPを送信するときに目にする基本手数料です。0.0001 ICPです。

ICPの取引ではこの手数料を支払わなければなりません。他のブロックチェーンでも見られる仕組みで、この手数料は「炎アイコン」がついてわかるように燃焼して消えます。たくさんのICPのやり取りが行われるとその分、全体のICPの量は減っていきます。
なお、取引所によっては0.0001 ICPよりもICPが必要になることがありますが、上乗せ分はその取引所が利益をえるための手数料です。
サイクル変換での減少
ICPはサイクルと呼ばれる別のトークンに変換することができます。このサイクルはエンジニアや企業などがプログラムをインターネットコンピューター上で動かすときに必要なトークンです。裏方のトークンなので、一般に利用しているだけでは目にすることはほとんどないでしょう。
- アプリを動かす
- 新しいアプリをリリースする
- データを保存する
プログラムを動かす作業全般に使われるイメージです。
インターネットコンピューターでWEBアプリ・サービスが動いているとき、裏側ではICPがサイクルに変換され消費されています。
供給量が増えるメカニズム
続いて供給量が増加するメカニズムです。何故報酬を払う必要があるのかとそれぞれの報酬の特徴を説明します。
- 投票の報酬
- ノードプロバイダーへの報酬
供給の重要性
ICPの希少性を期待する人にとっては、供給量を増やすことをやめてほしいと思う人もいるかもしれません。
しかし、インターネットコンピューターにとってICPの供給を増やすことには意味があります。
インターネットコンピューターを維持するために必要なコストは供給によってまかなわれたりするので、報酬を支払わないとインターネットコンピューターは立ち行かず崩壊します。
ノードプロバイダーへの報酬
ノードプロバイダーとは、他のブロックチェーンでは、バリデーターやマイナーと呼ばれる人たちです。
彼らはインターネットコンピューターを実際に動かしているサーバーをメンテナンスしており、データセンターの賃貸料や電気代、サーバーの購入費用や修理費などに利用できるように報酬が支払われます。
サイクルの燃焼によって消えていくICPはここで補填されると考えるとイメージしやすいかもしれません。
投票の報酬
ICP保有者にとって公平かつ利益になるようにインターネットコンピューターにはガバナンスの仕組みがあり、民主的な発展ができるようになっています。
ICP保有者は所有しているICPをロックすることで、投票権を得ます。そしてこの投票権を行使するインセンティブとしてICPが配られます。
もし報酬がないなら、投票に関心が無くなり大量の投票権をもった悪意あるユーザにインターネットコンピューターが乗っ取られる心配があります。
そこで、インターネットコンピューターを発展させるため、みなの利益になるより良い提案に投票できるように報酬の仕組みが設けられているわけです。
価格が下がる理由は?

供給量が価格に与える影響についてみてきましたが、2021年のリリースからICPの価格は下落傾向です。そこで価格が下がる理由をまとめてみました。
- サイクルが消費されていない
- ICPの取引量が少ない
- 循環供給量が増えている
- 初期暴落率95%の原因
サイクルが消費されていない
黎明期とあって、まだまだインターネットコンピューターで動かされているサービスは少ないです。10億以上のWEBサイトがあると言われているなかで、1万程度のサービスしか動いていないのが実情です。
インターネットコンピューターで動いているプログラムの数は小さく、プログラムを動かすために使用されるサイクルの消費量も少ない状況です。ゆえにサイクルに変換されるICPの量もまだまだ少ないということです。
ICPの取引量が少ない
ICPの取引量が少ないため、手数料で消失するICPの量もまた少ないです。
「ICPを利用した取引」はICP自体が、価値交換の手段として、つまり通貨として活発に利用されてはいないということ。
また、原因のひとつはサイクルの消費量と同様で、インターネットコンピューターで動いているサービスが少ないことも影響しているでしょう。
循環供給量が増えている
価格が下がる大きな要因として、個人的に考えているのが循環供給量の増加です。
循環供給量とは実際に売買や利用可能なICPの量を言います。
なぜ循環供給量が重要なのかというと、世に存在するすべてのICPの中には利用できないICPも数多く存在するためです。結局利用できないICPなので、無いものとしてみることができます。
利用できないICPよりも、利用できるICPがはるかに重要です。
総供給量はそこまで膨張していない
ICP総供給の増加は半年で1.4%ほど増加しました。年率では3%程でしょうか。
総供給量だけでみると、ICPの量は増えてはいますが緩やかです。

循環供給量は6か月で50%増
続いて循環供給量の変化をみます。

インターネットコンピューターリリース当初は、約123 M ICPだった循環供給量が6か月で191 M ICPと50%もの増加を記録しています。
供給量が増えることは価格に対してマイナスに働く
供給量が増えることに大して需要が追いついているかは重要です。
100人のリンゴがほしい人がいて100個のリンゴがあれば問題ないですけれども、10個なら熾烈な競争で価格があがり、1000個なら競争する必要がないので安い価格で購入できます。
ICPの価格でも同じことが起きます。
供給量が増えるということは希少性・あるいは価値が薄れることを指します。
初期暴落率95%の理由
ICPの価格は市場放出の数週間で95%減少した仮想通貨です。
これは、いままで説明してきた供給量の増加や減少のブロックチェーンの仕組みが要因の価格変化ではありません。
投資の影響がもろにでた暴落で、一部の初期投資家が上場とともにICPを大量に売買しました。時価総額ランキングTOP10に上場後にランクインしたものの、この暴落ですぐさまランク外になります。
もちろんICPが上場するにあたり、暴落させないための仕組み「売らないほうが儲かるインセンティブ」を用意していたのですが、初期投資家の一部には十分すぎる利益が出ていたので意味はなかったようです。
価格が上昇する可能性はあるのか?

次に価格上昇する可能性についてみていきましょう。
- 時間がたつと投票報酬による供給量は減っていく
- 循環供給量が減る可能性
- 利用されれば価値が上がる
時間がたつと投票報酬による供給量は減っていく

投票の報酬は年を追うごとに減っていき最終的には8年後の5%に落ち着く予定です。
「売らないほうが儲かるインセンティブ」として用意されていたものです。5年ほど経つと今ある10%付近の供給率から最低供供給率5パーセント台に近づいているため緩やかになります。すると最初期から投票を行っていた人たちは、それまでに十分な量の ICP を 増やしているのでより大きな価格上昇の恩恵を受けるようなデザインになってるとも言えます。うまくいきませんでしたけども。
しかし、経年によって供給率が絞られていくのは事実で、今よりも供給量が減ることは希少性が増し、価格に対してプラスに働くでしょう。
循環供給量が減る可能性
投票するためにはICPをロックする必要があるわけですが、その中には投票をやめてICPを取り出す人とがいらっしゃいます。循環供給量が増えてしまい、価値が減少する方向ですね。
しかしながら、今のところ「投票のためにICPをロックする人>ICPを取り出す人 」の傾向があり、このまま行くとじわじわと市場に出回るICPの量、循環供給量は減っていきます。
利用されれば価値が上がる
ICPの価格上昇に対して一番影響があるのが人気のアプリやサービスがでてくることかなと思っています。
人気のアプリは
- 計算量の増加
- ICP取引量の増加
をもたらす可能性があります。
多くのユーザーがインターネットコンピューター上でアプリ・サービスを使えば、それだけプログラムが計算を行います。するとプログラムを動かすためのサイクルが消費量が増加し、サイクルを得るためにICPが交換され減少していきます。
人気のアプリがDeFiなどの金融系やNFT関連のサービスであれば、ICPを利用した取引が増える可能性があり、手数料としてICPが燃焼しやすくなります。
ICPは購入すべき?
ICPの価格が減少している理由と増える可能性の両方を見てきました。
ICPを購入すべきか、いつが買い時なのかなどは、目的によって変わってくると思いますのでそれぞれ掘り下げます。
- 分散アプリケーションの開発
- インターネットコンピューターのガバナンスに参加
分散アプリケーションを開発
分散アプリケーションを構築するなら、ICPの価格は関係ありません。
安定しているコストでアプリをインターネットコンピューター上で動かすことができます。 いつ購入しても、すぐにサイクルに変換すればICPの価格の影響はほとんどないです。
詳しい理由を知りたい方は下記リンクをご確認ください。
>> ICPの価格が変わってもINTERNET COMPUTERの利用料金は変わらない理由
分散アプリケーションの開発では、インターネットコンピューターを試したいと思ったときにICPを購入して問題ないと思います。
インターネットコンピューターのガバナンスに参加
ガバナンスに参加し投票するなら早めに参加がオススメです。
ガバナンス参加は1 ICPから可能
投票をするだけなら、1ICPの値段が数千円なら最大で失っても数千円なので、個人的にはいつ買っても良いかなと思っています。
なお、実際にはトランザクション手数料も間にはいるので、ICPを取得するときは1.1 ICPほど購入しておくのが無難。
投票には年齢ボーナスがある
ガバナンスの投票権については、早くにICPをロックしたほうが「投票力」が上がります。これはICPをロックした期間に対して投票権の付与率が上昇するからです。
投票権の最大化は投資戦略が必要
ガバナンスの投票権はICPの保有量に依存するので、よりたくさんの投票権を得るにはたくさんのICPを保有する必要があります。投票権の最大化を考えると安くICPを買う必要があるので、投資と同じくICPの価格が重要です。
まとめ
ICPの価格についての内容をまとめます。
- ICPの量に上限はないが代わりに増加と減少のメカニズムがある
- 減少のメカニズムはサイクルへの変換とICPの手数料
- 増加のメカニズムは投票報酬とノードプロバイダーへの報酬
- インターネットコンピューターは利用されるほど価値が上がる
今回はICPの金銭的価値に注目した内容でした。
ブロックチェーンは技術の良し悪しに加えて、金銭的な成功もユーザー獲得につながるため無視できないと個人的に考えています。
利用者が多ければ、それだけ多くのフィードバックも得られますし、新しいアプリケーションの開発資金を投じれて、ますます発展していくことが予想されます。
どのブロックチェーンも期待は大きいので、インターネットコンピューターも負けじと発展してほしいと願っています。