
ブロックチェーンにお金が常に絡んでくる理由
ブロックチェーンとか技術に興味があってもすぐに儲かるとか言われてげんなりしてませんか?
- お金、儲かるとか言われてるのでちょっと怖い
- 儲かるというキーワードに対して抵抗感のある人
実は、ブロックチェーンはかなりの割合で、儲かる・稼ぐなどお金が関わってきます。「通貨」ですらないブロックチェーンでさえもお金に関わってくるのに疑問をお持ちの方向けです。
目次
不特定多数の人を動かすための「儲かる」
ブロックチェーンの大きな個性のひとつに、誰かひとりの意思に影響されないネットワークというものがあります。ブロックチェーン・ネットワークはみんなのものであり、みんなで作り上げていくということです。
つまり、不特定多数の人が協力してブロックチェーンを維持していく必要があります。
他人を動かすことは難しい
ブロックチェーンを構築し維持し続けるには多くの人々のネットワークへ参加してもらわねばなりません。ただ、問題があります。赤の他人に動いてもらうことがとても難しいということです。
街でいきなり声を掛けられ「イベントがあるから参加してよ!」と言われても参加するひとはほとんどいないことからも、他人に自分の思った行動をしてもらうのは大変ということがわかります。
また、自己啓発にアリがちなフレーズには
- 社会を変える前に自分を変えろ
- 人に期待するな、自分を変えろ
などをよく目にします。これらの言葉もいかに他人の行動を変えることが難しいか物語っています。もちろん時間をかけて信頼関係を築き上げれば、あなたの要望を聞いてくれることでしょう。
しかし、ブロックチェーンは不特定多数の人達が参加することで成り立ちます。人気のブロックチェーンには数百万人がいて、彼らの協力を得るのに「信頼」をつかっていたのであれば、どれほどの時間が必要なのか検討もつきません。
他人に動いてもらうために必要なこと
けれども、実際には数百万人の参加者が存在しているので、なにがしか「信頼」以外の方法で彼らを集めることに成功しているのも事実です。自分が思った通りに不特定多数の人に動いてもらう方法は限られます。見てみましょう。
教育
一つ目は教育です。「横断歩道で青信号で進み、赤で止まる」など、生活する上で当たり前のルールを守ることがみんなでできるのも教育のおかげといえるでしょう。
教育が行われれれば、不特定多数の人に行動してもらえます。教育の欠点としては、信頼を構築するのと同じで長い時間がかかることです。
これはブロックチェーンに不向きです。
脅迫
生命の危機、社会的危機など自分を救うための心理をつかう方法で、自己防衛本能を使用して他人に動いてもらいます。ただ言わずもがな、今の時代ではあってはならない方法で、これで他人を動かそうとするひとは牢屋にぶち込まれます。
もちろん、この方法はブロックチェーンにも使われていません。
報酬
ブロックチェーンで採用されているのはまさにこれ、報酬で人に動いてもらうこと。つまりインセンティブ。
身近なところでいうと、企業では営業職でインセンティブが採用されていますね。1件ごとの制約で月給に2万円プラスとか、会社の売り上げに直接した見返りとして報酬が個人に支払われます。インセンティブがあれば、会社の外で活動している営業社員が上長の目から外れたとしても、自発的に仕事をし続けるように社員の行動を指定することが可能です。
分散されたブロックチェーンには経済が組み込まれている
ブロックチェーンではインセンティブでなにがしかのメリット・報酬を与えることで人々の行動を促します。
インセンティブがデザインされているブロックチェーン
このインセンティブが使われる例を見てみましょう。ビットコインです。
ビットコインはアカウントをもっている人達の間でBTCを移動したり、通貨として使用します。これはビットコインのネットワークが維持によって成り立っていて、ネットワークの中ではたくさんのサーバーが日夜計算することで可能になっています。
つまり、
- 誰かがサーバーを購入している
- 誰かが電気代を払っている
- 誰かのために計算している
わけです。結構大変そうですし、お金もかかります。ビットコインのネットワークを維持をするのは、無償は難しいですよね。
そこで、参加すると得をする仕組み=インセンティブを与えてるわけです。ちなみに、ビットコインのインセンティブは、ネットワークに貢献するとちょろっとビットコインがもらえることです。ネットワークの貢献者は得たビットコインを売り、電気代やサーバーのメンテナンス費をはらい残った利益を得ています。利益が出るのであれば継続的にネットワークを維持してくれます。これが不特定多数の人がネットワークに貢献する理由です。
ブロックチェーンの上に作られたサービスもまたインセンティブを持つ
ブロックチェーンがビットコインしかなかった時代は、「通貨」としての機能しかありませんでしたが、イーサリアムが登場したことにより、世界が変わります。ブロックチェーンでWEBサービスを作ることができるようになりました。
そして面白いのは、ブロックチェーン上に作られたWEBサービスやアプリにもインセンティブがデザインされることです。
ブロックチェーンで動いているアプリの権利をみんなで保有し、みんなで成長させていく。
たとえば、アプリが収益を生み出すと、WEBサービスの参加者には見返りという形でに価値のあるトークンが配布され、それが「儲かる」につながります。
すると世界中の様々な人がアプリに参加したがるので分散していくことができます。
イーサリアムが登場するまで、WEBサービスで収益をあげると特定の企業がその恩恵を享受しやすい環境でしたが、ブロックチェーン上で作られたアプリのインセンティブにより個人でも直接恩恵を受けられる可能性が増えてきました。
インセンティブが採用されているいくつかの例
そしてこのインセンティブはWebアプリに限らず、様々なブロックチェーンに関わりがあるものにも採用されています。
- ネットワークのマイニング
- ネットワークのステーキング
- DAO(分散型自立組織)
- Dapps(分散アプリケーション)
- NFT
このようにインセンティブで経済的要素が組み込まれているがゆえに、ブロックチェーンには「儲かる」というキーワードが密接にかかわることになります。
不特定多数に分散したいブロックチェーン
インセンティブによって不特定多数の人たちをブロックチェーンのプロジェクトに集めることができることがわかりましたが、ここで一つ疑問をもつかもしれません。
それは「なぜインセンティブを使ってまで不特定多数の人に分散しているのか」ということです。雑にはなりますが先に理由を述べると「とにかく中央集権にしたくない」になります。
ブロックチェーンは2008年にビットコインとともに一躍有名になりましたが、いきなり出てきたわけではなく、さかのぼると1980年に暗号技術をつかってプライバシーの保護や個人の権利などをどうやれば実現できるのかということを本気で考えてた団体を源流を持ちます。
ブロックチェーンはその系譜なので性格をも引き継いでいます。中央集権であれば、権利を害される可能性があります。誰かの意向でアカウントを止めることができたり、権利をはく奪することも可能です。
そこでデータを皆で共有し、皆に権利がある状態をたもつ方法として「分散」が意識されているわけです。
「儲かる」が怖いは間違いではない
ブロックチェーンには投資としての特徴もあるため、価値がゼロになってしまうことですね。
本気で取り組まれているプロジェクトの価値がなくなることも
ブロックチェーンで動いているプロジェクトが全力で取り組んでいたとしても価値がなくなる可能性もあります。
先ほど、ブロックチェーン上でつくられたWEBサービスは収益をあげると企業でなくとも個人に利益が分配することが可能と言いました。しかし、これは十分に人気があって人々に求められているサービス内容である必要があります。
人が集まり、利用されるから価値があり、価値があるからそこにお金が流れ込みます。
逆にどれだけ、真摯に取り組んだとしても「誰も使わない」「ニーズがない」サービスは使われませんし、よりよい競合の登場で価値がすべて移動してしまう可能性もあります。
このあたりは既存のWebサービスと同じですね。
買い物が安く便利にできるからAmazonが使われるし、Youtubeも楽しいから使われる、TikTokもしかり。ブロックチェーンのWEBサービスも需要があるからこそ価値が生まれます。
詐欺プロジェクトが少なからずある
もう一点「儲かる」キーワードが怖いと感じる点、詐欺を呼び寄せることです。私もブロックチェーンに興味を持ち調べ始めてから思った感想は「詐欺多くない?」です。
中身スッカスカのプロジェクトでみんなから資金を集めて消えるとか、綿密に計画されたプロジェクトに見せかけた綿密な詐欺だったりとか、「匿名性が維持できる」+「儲かる」という組み合わせがちょっと相性が良すぎますね。
日本で認可されている取引所であつかっているトークンには、金融庁など絡んでますから詐欺はふくまれていないと思っていいでしょう。
ただ、その 庇護下から外に出てブロックチェーンのトークンを探す場合は、そのプロジェクトが詐欺ではないかを自分の目で見極めていかないと簡単に資産を失います。
価格暴落は優良プロジェクトの見極めのチャンス
国の庇護下を離れて、自分で面白そうなブロックチェーン・プロジェクトを探すには、暴落時がチャンスかもしれません。イーサリアムの共同開発者であるVitalik氏は下落相場を歓迎しています。
自分たちが取り組んでいるプロジェクトのトークンの価格もさがるというのに、何故歓迎しているのかというと、「様々なプロジェクトやチーム、アプリケーションが消えていき長期的に持続可能か判断できる時期になる」とのこと。宣伝だけうまく、お金を集めるだけの誇大広告などのノイズが消えて見極めやすいということですかね。
過去を振り返ると、2017年に仮想通貨の強欲が爆発し、2018年には大きく下落し2020年まで低迷します。しかしこの間に価値を見極めた人たちは、2021年でさらに大きく価格が暴騰し恩恵をうけました。2022年になり、熱狂が冷めて仮想通貨全般の価格が下落してきているので、再び低迷の時期である冬の時代が来ました。
仮想通貨の下落は、「リスクが高いものに手を出すから痛い目をみるんだ、ざまあみろ」ではなく、むしろ利用者視点では本当に価値のあるプロジェクトを見極めるチャンスがきていると捉えることができます。
まとめ
- 他人に行動してもらうための「儲かる」
- ブロックチェーンには分散するために経済が組み込まれているので「儲かる」と強く結びついている
- 下落相場は価値を見極めやすい時期
ブロックチェーンとお金の関係は以上です。私自身ブロックチェーンに興味があったのにも関わらず、「儲かる」というキーワードがあっただけで避けてきた過去があるので、この記事が似た感覚をお持ちの方の参考になれば幸いです。